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京大ヨット部を引退して #14

 

皆様明けましておめでとうございます。1年間470リーダーを務めさせて頂きました高山と申します。引退のご挨拶ということで稚拙な文章ではありますが少々お付き合い頂ければ幸いです。

 部活動に取り組む上で最も大切なことはやはり『勝ちに拘ること』だと僕は思います。しばしば目的と目標は別に考えろという話を耳にします。部活動に当てはめて大まかに言えば、目的とは「人間的な成長を得ること」、目標は「勝利すること(勝利の定義はチームによって様々)」だと思います。ですが、ただ部活動に一生懸命取り組むだけではいわゆる「人間的成長」は得られないと思います。ただ人間的成長という得体の知れない一言で部活動の意義を語るのは余りにも滑稽な気がして、僕は部活動の意義についてしばしば再考していました。そもそも何故私たちは、全日本インカレで総合3位という目標を目指していたのでしょうか。無論僕たちのモチベーションの根底には「勝ちたい」という純粋でひたむきな欲求がありました。それを踏まえた上で、その結果を出すことの意義、目標を達成することの意義を自問自答していました。そして自分なりに行き着いた結論は、自分の努力の正当性が、順位という他者との相対評価によってフィードバックされる、そこに結果を出す意義がある、ということです。つまり結果は努力の証明をしてくれるということです。頂点に立った者は他の誰にも劣らない努力をしてきた、そしてその努力が順位として形に顕れただけです。逆にたとえどんなにハードな練習をこなそうとも、たとえどれだけのチームワークが築けていたとしても、たとえどれほど頭を使って練習に取り組もうとも、結果を出せなくてはその努力は正しかったとは証明できません。「勝利」に拘って努力し続け、その目標を達成したという結果がそれまでの努力のプロセスに意義を与えてくれる、そしてそのプロセスがこそ得体の知れない「成長」をもたらしてくれるのだと僕は思います。目標を達成できないにしても、勝ちに拘った血生臭い努力が無ければそこに意義は生まれません。また、結果を出せなかったが俺たちは頑張ったと開き直ることもまたその努力を無駄にする行為であり、敗者は謙虚にその実力を受け入れ、そこから学びを得ることに徹するべきだと思います。それが勝負の世界に打ち込む者の覚悟ではないでしょうか。

 僕は470チームのリーダーを一年間務めさせて頂きましたが、団体戦予選敗退という極めて不甲斐ない結果で4年間の現役生活を終え、チームを勝利へと導くことが出来ませんでした。もっと速くなりたい、みんなにも速くなってほしい、チームを強くしたい、インカレで勝ちたい、その思いで活動自粛に苦しめられつつも1年間駆け抜けてきたつもりでした。ですが何を言おうとも皮肉なことに、結果が示すように結局は僕の覚悟は甘かったという他ないでしょう。では85代の僕たちの努力は無駄になってしまったのでしょうか。大変都合の良い話ではありますが、その結論を出すのをもう少しだけ待って頂けないでしょうか。京都大学体育会ヨット部では新主将・大島の率いる86代へとバトンが引き継がれました。申し訳ないことに僕の一つ下の代の後輩たちには特に悔しい思いをさせてしまいました。彼らなら来年度のインカレの舞台で僕たちの分まで悔しさを晴らしてくれると期待しています。僕たちの努力が無駄ではなかったと、昨年の敗北は今年ブレイクスルーするための布石だったのだと証明して欲しいという身勝手な期待を胸に、これからは1人のOBとして彼らを応援していきたいと思います。有難いことに470チームのコーチに任命して頂きましたので、今年1年は現役たちを側でしっかりとサポートさせてもらえたらと思います。

 そしてこれまで支えてくださった山本部長、入口前監督、田中新監督を始めとするOB及びコーチの皆様方、信じてついてきてくれた後輩のみんな、4年間共に戦ってくれた同期のみんな、そしてスキッパーに転向してからの3年間ペアを組んで頂いたはんぺんさん、八代さん、そしてじょうた、本当にありがとうございました。結果こそ残すことが出来ませんでしたが、何を言おうともやはり、皆さんのおかげでとても幸せな現役生活でした。部活動の意義云々の話をしましたが、結局はヨットが好きで、ヨット部のみんなが好きで、そして引退が決まった瞬間嗚咽が止まらないほどまでに勝利を渇望したその気持ちこそが僕を突き動かしてくれたのだと思います。

 最後に現役の皆へ、これから活動する中で様々なしがらみや圧力に直面することがあるかと思います。勿論日頃から支えてくださっているOB、スポンサー、保護者、大学関係者の方々への感謝を忘れてはいけません。それでもやはり他の誰かの為ではなく、自分の為に、自分たちの為にヨットをやって欲しい。残りの現役生活を思い切り楽しんで欲しい。そしてひたむきに勝ちを目指して欲しい。このようなご時世ではありますが現役のみんなに幸多かれと願い、引退のご挨拶とさせて頂きます。4年間ありがとうございました。

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