引退ブログ#1山元紗代子
お世話になっております。88代で主務を務めましたスナイプクルーの山元紗代子です。引退から二週間、朝の気温が10度を下回るようになり、早朝バイトに行くために毎回布団と格闘する日々を送っています。
さて、引退ブログですが、「没頭」をテーマに書きたいと思います。というのも、私はヨットに没頭できないことに苦しんだからです。拙い文章ですが、誰かの何かになれば嬉しいです。
私は2回生の7月に、熱中できる場所を求めてヨット部に入部しました。入部後、同期がヨットとヨット部にどんどんのめり込んでいく中、私はヨットの楽しさが見出せず、ずっとのめりこめずにいました。それは後輩が入ってきても変わらず、ヨットが上手くなっている感覚はないし、上手くなろうという気持ちがないことはないけど自主練に行くようなモチベはないし、下手だから上回生練に混じることもなくて何かが変わる機会もないし、技術的にも精神的にもみんなから離されていって、いつしかヨットに乗ることが苦痛になっていきました。京大ヨット部は没頭している人の輪の中に入ることができれば非常に楽しいものになりますが、その輪に入れないと苦しい場所だと痛感しました。いつか楽しくなるだろうと思ってダラダラ続けていましたが、4回生2月の小戸遠征後、部活に行けなくなりました。楽しくないことを膨大なお金と時間をかけてやる意味が分からなくなりました。技術的にインカレのレースメンバーになることはないだろうし、来年は研究室やら院試やらで忙しくて練習すらまともにできないかもしれないし、ヨット部に居続ける意味を見失いました。でも、結果的には1ヶ月の休部に留まり、退部には至りませんでした。
では、なぜ続けたのか。答えは意地とプライドです。それでしかありません。主務という役職を任され最後までやると決めていたのに、中途半端なところでやめるのが自分の中で癪だった。ヨットとヨット部に没頭している人がこんなにたくさんいるのに、その面白さがわからないのが悔しかった。今やめてしまったら今後人生で同じようなことがあったときにすぐに逃げる癖がつきそうで嫌だった。要は、自分はこんなところで何もせずに終わる人間じゃないと思いたい、その一心で続けることを決めました。
復帰後しばらくは相変わらずしんどくて毎日泣きながらヨットに乗っていました。転機となったのは4回生の5月に2回生未経験の桂田とペアを組むことになったことです。やる気ある後輩に迷惑をかけるわけにはいかないと腹を括りました。その後は、ヨットの挙動が分かるようになってきたり、桂田がどんどん上手くなっていくのが嬉しかったりして、ヨットに対する気持ちがマイナスではなくなっていきました。そのままレースシーズン、院試、長い長い1ヶ月の小戸遠征、団体戦予選を駆け抜け、引退まで残り1ヶ月となりました。団戦予選では自分は出場できなかったものの桂田は出場を果たし、インカレではペアで出る可能性が十分にある状態でした。土日は小戸で練習、平日は大学で実験、という日々が続く中、ふと気がつきました。平日も頭の中でずっとヨットに乗っていることに。入部してからこの方、ヨットにはまりきれず頭の中で無意識にヨットに乗ったことなんて一回もありませんでした。それが今は頭の中でずっとレースをしていていいイメージを作っている。引退1ヶ月前にしてやっと心から没頭することができた気がしました。没頭することはこんなに楽しいのかと感動しました。最後の1ヶ月の楽しさはそれまでのしんどさを凌駕するものでした。迎えたインカレでは桂田とレースに出て3R目に5位という華々しい結果も残せて、スナイプや総合の順位では心残りがあるものの、個人としては清々しい気持ちで引退することができました。各リーダーや努力しているのに結果が出ない人と比べれば大したしんどさではないと思いますが、続けて本当によかったです。以上の私の経験から現役諸君に言うとすれば、ヨットに没頭できている人は、それは幸せなことなのでそのままがむしゃらに頑張ってください。没頭しきれていなくてしんどさを感じている人は、ヨットとヨット部になにかしらの希望があるのなら、休んでもいいからしんどいなりにへばりついてみることを考えてみてください。その経験は人生の糧になるし、いつか見えるものが変わってくると思います。
あとひとつ、桂田に向けて。最後の半年間一緒に乗ってくれてありがとう。ペアが桂田じゃなかったらここまでヨットに没頭することもなかったし、こんなに気持ちよく終われなかったと思います。私みたいな下手で頼りないクルーと組んだことが桂田にとって良かったかは分かりませんが、えのすなで上位艇と圧倒的な差を見せられたり、個戦予選で初めてシングルとっていい感じだったのにグースネック折れてリタイアしたり、小戸遠征でセンターを流した甲斐あって帆走ついていけるようになったり、城ヶ島cupで前を走る感覚を掴んだり、インカレ3Rでスタート3分後くらいに高すぎて2人で大興奮したり、5位とって泣きそうになったり、幻の4Rで圧倒的72位を走って絶望したり、来年以降につながるいろんな経験はできたんじゃないかなと思います。プレッシャーもあるかもしれませんが、今まで通り峰岡や亮太朗の背中を追って、貪欲に上手くなってください。応援してます。城ヶ島とインカレのときにスターボの船見てなかったのは本当にごめん、、、
最後にはなりますが、今まで支えてくださった監督、コーチ、88代89代の同期、先輩方、後輩、そして家族に感謝の気持ちを述べたいと思います。本当にありがとうございました。
長くなりましたが以上で私の引退ブログとさせていただきます。これからの京大ヨット部も応援しています。
京都大学体育会ヨット部
第88代 山元紗代子
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