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12月ポイントレース#1


お世話になっております、1回生Snipeクルーの鶴衛です。今回のセーリングレースは、これまでの経験を大きく超えるものでした。1レース目は、今までに経験したことのない強風にさらされ、常に風と波に圧倒される状況でした。スタートから上マークに向かう途中、コースを引こうと試みたものの、風の強さに対応する余裕がありませんでした。通常であれば、風向きの変化を見極めながら最適なコースを選択する必要がありますが、この日はそれを冷静に考えることができませんでした。クルーとしての経験不足が露呈し、風域の変化に対する柔軟な対応が求められることを痛感しました。


さらに、下マークに向かう途中、ほぼ完沈の状態に陥りました。水中に落ちる感覚は一瞬の出来事でしたが、船を復元させるのにかかる時間は体感的に非常に長く感じられました。幸いにも、先輩の宮本さんがすぐに助けてくれたため、大きなタイムロスにはつながりませんでした。また、多くの他の船も同様に沈していたため、大きな順位の変動はありませんでしたが、寒さが追い打ちをかけました。濡れた体に冷たい風が吹き付けることで体温が奪われ、動きが鈍くなったのをはっきりと感じました。この経験を通じて、レースでは不測の事態が起こる可能性を常に想定しておくことの重要性を学びました。特に防寒対策の不十分さは反省点の一つです。寒さが判断力や動作に与える影響は大きく、レースのパフォーマンスに直結するという教訓を得ました。


2レース目は、1レース目の教訓が少しずつ生かされた感覚がありました。AP旗(レース一時中止の合図)が掲げられた際は、次のレースも中止になるかと思いましたが、突然オレンジ旗が上がり、予想外の展開に一瞬戸惑いました。切り替えが必要な場面で冷静さを保つことは難しいですが、1レース目で強風に少し慣れたおかげで、ある程度の余裕を持つことができました。今回は、コースを完全に自分で引き、責任感を持って判断を下す立場になったことが成長の一つだったと感じています。


とはいえ、理想的なコースを引けたわけではなく、特にレイライン(目標地点に到達するための最適な進路)をうまく捉えることができなかった点は悔いが残ります。また、風が振れた際の対処が遅れ、最短距離を進むための判断力が不足していたと感じました。これらの失敗は、経験の浅さや実力不足が原因であり、普段の練習でより意識して取り組むべき課題だと痛感しました。しかし、レース後に先輩から「頑張ってたね」と声をかけてもらえたのは、何よりの励みになりました。認められることの嬉しさは、次へのモチベーションにつながります。ハイクアウトの際は、風圧に耐えるための根気が求められ、疲労感が体中に蓄積しましたが、最後まで耐え抜けたのは一つの自信になりました。


2レースを通して、今回の大きな学びは「柔軟な対応力」と「根気強さ」の重要性です。クルーとしての動作にまだまだ課題が残っていることは明白ですが、経験を積み重ねることで対応力は向上するはずだと感じています。強風の中でも臨機応変に対応できる力、風向きの変化にすばやく反応する判断力、そして冷静さを保つ精神的な余裕が必要です。1レース目での恐怖心が、2レース目ではわずかながら克服できたことが自信になり、特に風の中での動作が少しスムーズになったと感じられたのは成長の証といえるでしょう。


レースがすべて終わった後のBBQとからあげは、これまでにないほどおいしく感じられました。全力を尽くしてレースに挑んだ後の食事は、単なる食事以上のものに感じられます。疲労と寒さが混ざり合う中、温かい料理は心も体も癒してくれました。このような「楽しさ」もセーリングの魅力の一つだと思います。レースでは苦しいことや悔しいこともありますが、仲間たちと共有する達成感や、ささやかな食事の時間が、すべてを肯定的な思い出へと変えてくれます。


今回のレースは、風という「自然」との闘いであると同時に、自分の弱さとの闘いでもありました。寒さや強風による困難は、自分の未熟さを浮き彫りにしましたが、同時に成長のためのヒントも多く得られました。風がもたらす恐怖と、克服したときの達成感は表裏一体です。今回の経験を通して、技術的な課題はもちろんのこと、精神的な強さも求められるスポーツであることを改めて実感しました。今後は、クルーとしての動作を磨くだけでなく、予測不能な状況でも冷静に判断できるメンタルの強さも鍛えていきたいと思います。

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